instagram

建築コラム

断熱性能を表す『UA値』とは?

断熱性能を知るための指標:UA値とは?

家の断熱性能を語る際に欠かせないのが「UA値(外皮平均熱貫流率)」です。UA値は、住宅全体の熱がどれくらい外部に逃げやすいかを示す数値です。

具体的には、建物が損失する熱量を外皮面積で割ったものです。
この値が小さいほど断熱性能が高いことを示します。
これにより、熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高い家であることがわかります。

断熱性能が高い家で、冬でも光熱費を抑えた経済的な暮らしを実現

UA値の計算方法

UA値の計算式は以下の通りです:

外皮平均熱貫流率(UA値)[W/m2K] = 建物が損失する熱量の合計[W/K] / 外皮等面積[m2]

ここで、建物が損失する熱量の合計は、屋根、外壁、床、開口部、基礎立上りなど各部分の熱損失量を合計したものです。

熱損失の計算

熱損失量は以下のように各部分ごとに計算されます:

  • 屋根(天井)の熱損失量 = 屋根のU値 × 屋根の面積 × 温度差係数
  • 外壁の熱損失量 = 外壁のU値 × 外壁の面積 × 温度差係数
  • 床の熱損失量 = 床のU値 × 床の面積 × 温度差係数
  • 開口部の熱損失量 = 開口部のU値 × 開口部の面積 × 温度差係数
  • 基礎立上りの熱損失量 = 基礎立上りのΨ値 × 基礎の外周長 × 温度差係数

温度差係数は、外気に接する部分が1.0、床断熱の場合の床が0.7など、接する環境により異なります。

各部位のU値の求め方

U値は断熱性能を示す指標で、次のように算出されます

部位の熱貫流率U[W/㎡K] = {(断熱部の熱貫流率U × 断熱部の面積比率a + 熱橋部の熱貫流率U × 熱橋部の面積比率a)} ÷ 面積比率の合計Σa

各部材の熱伝導率λと厚さdから熱抵抗値Rを算出し、部材の熱貫流率Uiを求め、最終的に部位全体のU値を算出します。

開口部のU値

開口部のU値は、JISやISOの値、簡易計算法、ポータルサイト、メーカーのカタログなどから求めることができます。

高断熱仕様の家。断熱性能が高いので一部に大開口をつけても家の中が寒くなりません

外皮等面積の計算

外皮等面積は、屋根、外壁、床、開口部、土間床の水平部などの外皮部分の面積を合計したものです。基礎の立上り部分も外壁面積に加算されます。

住宅の断熱性能が重要な理由

住宅の断熱性能が重要な理由は、夏は外気の熱が入りにくく、冬は内部の熱が逃げにくいためです。
このため、一年を通して室内を快適な温度に保ちやすくなります。これにより、冷暖房効率が上がり、省エネルギー効果が期待できるほか、健康面でもメリットがあります。
例えば、ヒートショック対策や結露の防止に役立ちます。

UA値の地域ごとの基準

日本は外気温の地域差が大きいため、全国を8つの地域に分けてそれぞれのUA値の基準が定められています。
札幌ではUA値0.46以下が基準とされております。

外は寒くても少しの暖房エネルギーで家の中は暖かい

まとめ

UA値は、住宅の断熱性能を評価する重要な指標です。UA値が低い住宅は、熱が逃げにくく省エネルギー性能が高いことを示し、快適で健康的な住環境を提供します。地域ごとの基準を参考にしながら、適切な断熱性能を持つ住宅を選ぶことが大切です。これにより、住まいの快適さとエネルギー効率を両立し、持続可能な生活を実現しましょう。