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建築コラム

ZEH(ゼッチ)とは?ZEH住宅のメリット・デメリットや補助金制度も詳しく解説

はじめに

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、エネルギー収支をゼロ以下にする住宅を指します。
これは、住宅の断熱性能を高め、省エネルギー機器を導入し、さらに太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用することで、年間のエネルギー消費量を実質的にゼロにすることを目指すものです。
この記事では、ZEHの定義や必要な要素、メリット・デメリット、補助金制度について詳しく解説します。

施工前の断熱材。付加断熱のネオマフォームと充填断熱のグラスウール

1. ZEHとは?

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、エネルギー収支をゼロ以下にする住宅を指します。具体的には、家庭内で消費するエネルギーと、再生可能エネルギーで創り出すエネルギーのバランスを取り、年間のエネルギー消費量が実質ゼロになる住宅のことです。

日本におけるZEHの背景

日本では、エネルギーの自給率が低く、約9割を輸入に依存しています。そのため、エネルギーの安定供給と環境負荷の低減が重要な課題となっています。また、地震や台風などの自然災害が多い日本では、災害時にエネルギー供給を確保することも重要です。これらの背景から、政府はZEHの普及を推進しています。政府の目標として、2030年までに新築住宅の半数をZEHにすることが掲げられています。

2. ZEH住宅の3つの要素

1. 省エネ

家庭内で使用する電力量や稼働状況を管理するためのHEMS(Home Energy Management System)が必須です。また、LED照明、高効率の給湯システム、省電力稼働の冷暖房や換気システムなど、無駄な電力を省くことが求められます。
※HEMSについての詳細はこちら(Panasonic:HEMS解説ページ)

2. 断熱

高性能の窓や高断熱材を使用することで、エネルギー効率の良い住宅を実現します。断熱効果の向上により、冷暖房に使用するエネルギーを削減し、快適な住環境を作ります。また、断熱材の選定により結露防止やカビの発生を抑え、健康的な住環境を提供します。
窓:YKK AP APW430(詳細はこちら)
玄関ドア:YKK AP D50トリプルイノベスト(詳細はこちら)
付加断熱:旭化成建材 ネオマフォーム(詳細はこちら)

3. 創エネ

ZEH住宅では、生活で消費するエネルギーよりも多くのエネルギーを創り出す必要があります。太陽光発電システムの導入が一般的であり、これにより家庭内で必要なエネルギーを賄います。さらに、風力発電や地熱利用などの再生可能エネルギーも検討されています。

太陽光パネル。ハンファQcells製。ZEHにおいてなくてはならない要素

3. ZEH住宅のメリット

1. 光熱費削減

ZEH住宅は、省エネシステムや断熱の強化、太陽光発電による自家発電により、光熱費を削減できます。また、余った電力を電力会社に売電することで、収益を得ることも可能です。これにより、長期的には初期投資を回収することができます。

2. 災害時の非常電力確保

蓄電池を設置することで、停電や自然災害時にも電力を供給できます。さらに、電気自動車の充電にも対応できます。非常時でも冷蔵庫や照明、暖房など必要な機器を動かすことができ、生活の継続性が確保されます。

3. 資産価値の向上

ZEH住宅は、省エネ性能が高く評価されるため、将来的に高い資産価値を持つ可能性があります。特にBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)で高評価を得られるため、売却時にも有利です。エコ住宅としての認知度が高まることで、買い手にも魅力的に映ります。

4. 快適な住環境

ZEH住宅は、高い断熱性能により、夏は涼しく冬は暖かい快適な環境を提供します。特に冬の寒い季節には、ヒートショックを防ぐ効果も期待できます。室内の温度が安定することで、体への負担が少なく、健康的な生活を送ることができます。

5. 環境への貢献

ZEH住宅は、再生可能エネルギーを活用するため、CO2排出量を削減し、地球温暖化防止に貢献します。これにより、持続可能な社会の実現に寄与することができます。また、再生可能エネルギーの利用促進により、エネルギーの地産地消が進みます。

実際に設置した蓄電池。ZEHにおけるBEIを大幅に向上させます

4. ZEH住宅のデメリット

1. 天候による発電量の変動

太陽光発電は天候に左右されるため、曇りや雨の日、日照時間が短い冬場は発電量が減少します。また、最近の売電価格の低下も収益面でのデメリットとなります。安定した電力供給を確保するためには、蓄電池の容量やシステムの設計が重要です。

2. 設備投資やメンテナンス費用

太陽光発電システムや省エネ機器の設置には初期投資が必要です。また、これらの機器を長期間使用するためには定期的なメンテナンスも必要です。特に太陽光パネルや蓄電池は寿命があり、交換や修理が必要になる場合があります。

3. 導入コストの高さ

ZEH住宅の建設には、通常の住宅よりも高いコストがかかります。高性能な断熱材や省エネ機器、太陽光発電システムなど、初期費用が増加しますが、長期的には光熱費の削減や補助金によって回収できる可能性があります。また、初期投資を抑えるためのローンや補助金の利用も検討が必要です。

トリプルガラスを利用したサッシによりZEH基準を大幅クリア

5. ZEH住宅の補助金制度

ZEH住宅には、国土交通省・環境省・経済産業省の連携による補助金制度があります。主な補助金制度には、「ZEH」「ZEH+」「次世代ZEH」の3つの区分があります。

1. ZEH

省エネルギーと再生エネルギーの導入で、年間の一次エネルギー消費量の収支ゼロを目指す住宅。エネルギー削減率は省エネ基準比20%以上。

2. ZEH+

より高性能なZEHで、省エネ基準比25%以上の一次エネルギー削減を目指す住宅。

3. 次世代ZEH

ZEH+の性能に加え、再生エネルギーなどのさらなる自家消費の拡大を目指す住宅。

また、LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅への支援制度もあります。

6. 補助金制度を利用する際の注意点

1. ZEHビルダー・プランナー登録の建築会社を利用する

ZEH住宅を建築する場合、建築会社が「ZEHビルダー」または「ZEHプランナー」として登録されていることを確認しましょう。

2. 設計の変更ができない

補助金制度を利用する場合、申請後に設計の変更はできません。事前に十分な検討を行い、最終決定をした上で申請を行う必要があります。計画段階での詳細な打ち合わせと確認が重要です。

3. 最新の補助金スケジュールを確認する

補助金制度は、申請時期や採択方式、補助金額が異なります。希望する補助金制度の情報を随時確認し、公募が開始したら早めに申請しましょう。申請書類の準備や提出期限に注意し、スムーズな手続きを心掛けることが必要です。

7. ZEH住宅と住宅ローン

金融機関では、ZEH住宅向けの住宅ローン優遇プランを提供しています。
これにより、光熱費の削減と住宅ローンの金利優遇を同時に受けることができます。
詳しい条件や利用方法については、各金融機関の窓口で確認しましょう。住宅ローン減税などの税制優遇も併せて利用することで、経済的な負担を軽減できます。

ZEHに欠かせない高断熱ドアのYKKAPのD50トリプルイノベスト

まとめ

ZEH住宅は、省エネルギーと創エネルギーを組み合わせることで、エネルギー収支をゼロ以下にする住宅です。そのメリットは光熱費削減や災害時の非常電力確保、高い資産価値、快適な住環境など多岐にわたります。一方で、天候による発電量の変動や初期投資・メンテナンス費用といったデメリットもあります。

ZEH住宅の普及を促進するために、政府はさまざまな補助金制度を設けています。これらの制度を上手に活用し、理想的なZEH住宅を実現しましょう。また、ZEH住宅を建築する際には、信頼できる建築会社を選び、十分な計画を立てることが重要です。

ZEH住宅で、快適でエコな暮らしを実現してみてはいかがでしょうか。

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