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血は水よりも濃し

私の故郷の実家の隣に住む従兄の孫が、札幌の某銀行に勤めていることは聞いていたが会ったことがなかったので、先日連絡して琴似で会うことにした。私は実家を離れ札幌で生活するようになってから55年になる。もう近所では忘れられた存在なのだ。その娘も私の事は噂には聞いていても私の事は全く知らない。これがなかなかミステリアスで、新鮮で程よい緊張感を伴う。家内を交えて食事をした。

 彼女は15年前に彼女のおじいちゃんと私が一緒に撮った写真を見て感激していた。従兄とわたしはの年の差は30歳以上。今は既にこの世の人ではない。

 彼女は食べ物の好き嫌いがなく私が勧める食べ物を喜んで食べてくれた。そして若い娘には珍しく日本酒が好きだという。実は従兄は相当の日本酒好きな人だった。私の両親はお酒をまったく口にしないので、特に酒豪ぶりが印象に残っている。

 江戸切子のお猪口にお酒を注ぐ。お刺身を頂く。天ぷらを頂く。ざんぎを頂く。お猪口を替えてお酒を頂く。旬の秋刀魚は焼いて頂く。背中の青い握りを頂く。お冷を頂く。お酒を頂く。

今宵の酒は最高。彼女に何ら変化なし。やはり血は水よりも濃かった。(By鴈原)